艦隊これくしょん:戦争のゆくえ

 

 

 前回の記事では、吹雪の戦争とナレーションなどによって示される戦争のイメージが重なり合っていることを指摘した。3話では、神通を旗艦とする第三水雷戦隊が中心となってW島攻略任務につく*1。第三水雷戦隊は囮となり、引き付けた先で第四水雷戦隊と挟撃するものだった。偵察機に第三水雷戦隊が発見されてしまい、敵の艦隊に先手を打たれ作戦は破綻しピンチに陥るが、第二艦隊が合流し戦況は逆転する。ほぼ勝利を手にしていたものの第四水雷戦隊の一人であり、睦月の親友である如月が轟沈してしまう。

 

 2話で展開されたいかにも部活的な話からの落差に驚いてしまうが、前回の2つの戦争を引き離して考えれば、赤城たちの見る空に引き戻されていったのだと解釈できる。

赤城との会話

赤城「私たち艦娘は、存在したその瞬間から、戦うことを運命づけられています。反攻作戦が開始されれば戦闘は激化するでしょう。いま、この鎮守府にいる艦娘たちも、どれだけが無事でいられるか。でも、それでも私は艦娘で良かったと思います。大切な人達を守ることができる。大好きな仲間と一緒に戦えるのだから。鋼の艤装は戦うために。高鳴る血潮は守るために。秘めた心は愛するために。ありがとう。大好き。素敵。うれしい。大切な人への、大切な気持ちを伝える気持ちをためらわないで。明日、会えなくなるかもしれない私たちだから。」

 

 赤城のこの台詞には死の形象がこべりつく。対してその言葉に感激し、陶酔する吹雪たちのまなざしには、赤城への憧れだけではない、なにか美化されたものがあるようには見えはしないか。2人のまなさじの交差するこのシーンが、2つの戦争が接木されてしまった象徴となっている。

 

*1:史実との関係はこちらが詳しい