SHIROBAKO:なぜ衣装が鎧になったか

 ゴスロリさんも井口と同様に、初めてキャラクターデザインを任された時、プロデューサーや監督からダメ出しをうけ続けるという辛い過去があった。

「追い込まれても、勝負をひっくり返されても、へこたれない方だと思っていましたが。」

「そのとき理解したのです。全てにハイハイと頷いていてはいけないのだと。クリエイターは誰しも、繊細で傷つきやすい心を持っている。しかし絶えず批評、駄目出し、注文を付けられる。だから自分を守るために、私は鎧をまとったのです。」 

  こうしてその時デザインしていたキャラクターの衣装が彼女の鎧となったのである。だが、なぜ衣装が鎧となったのだろうか。なぜ、繊細で傷つきやすい心は、キャラクターの衣装で守られるのだろうか。

 よく言われているように、コスプレをするということが、そのキャラクターになりきることだとしよう。*1コスプレをした自分は、敵からの攻撃に対してどう立ち向かうのだろう。彼女は、キャラクターのように戦うだろう。あるいは、自分に対する屈辱をキャラクターに重ねることで、そうして同時に屈辱を受けてしまっているキャラクターへの愛情から、キャラクターを守るために自らを奮い立たせるだろう。だからキャラクターの衣装が鎧となったのだ。鎧は、攻撃を受けてしまうが、心にまでは踏み込ませない。攻撃=駄目だし・批評は依然としてあるし、無くなることはない。だが、自らの作品を貶す攻撃に屈しないように。自らを守るだけではなく、自らの作品を支え、反撃するための鎧…

 

 

*1:させてください